魔法学院特別講義

七人の惑星神

五大元素と属性

攻撃魔法	防御 治癒 変換の魔法

forever - フォーエバー

『魔法学院特別講義』

　本日は魔法学院(アカデミー)の特別講義に、ようこそおいで下さいました。
　当学院がペンタウァ王家のご援助の元に設立されてから、今年でちょうど百年目になります。
　その間、私どもは一部の人間にしか知られていなかった魔法についての知識・技術を一般の方々にも広めるため微力を尽くして参りました。
　しかし演習や実験など、魔法の講義には多大な費用を必要とします。そのため気軽に来院していただくというわけには、なかなか行かなかったようです。
　そこでこの度、創立百周年を記念して魔法学院の一般教養コースを無料で公開することになりました。
　講義の構成は学生たちが入学始めに受講するものと、ほぼ同じ内容を踏襲しています。

　魔法についての概念、とくに「星」の掛け合わせ方に始まり、七人の惑星神、五大元素、そして120種類の魔法の紹介という順番で進行していきます。
　さらにオプション・プログラムとして薬学の基礎講義も用意されています。ハーブと薬に興味がある方は、こちらの方もどうぞ。

　なお講義の方は、わたくしエスメレー・アーチェットが担当させて頂きます。
　講師としては新米なので至らない所もあるかもしれませんが、精一杯がんばりますので、どうかよろしくお願いします。

星の掛け合わせ方

　まず始めに「魔法」と「星」という概念について簡単に説明したいと思います。
　ペンタウァに伝わる独自の魔法体系は、天空を惑う七つの星すなわち火星・水星・木星・月・太陽・金星・土星をベースにしたものです。
　週を区切る単位となっているこれらの星たちは、私たちにとって非常に馴染み深い存在ですが、それらが力の源、世界を構成するものであるとする説は、意外にも知られていません。
　しかし古来より、ペンタウァの魔法使いたちは、その説にしたがって魔法を作る技術を編み出してきました。
　その技術が「星を掛け合わせる」というものなのです。

　その原理は非常に単純ともいえるでしょう。
　まず星の力を集める“媒体”となる品物を用意します。これには杖や指輪などが用いられることが多いですが、丈夫な材質であれば何でも構いません。
　次に、それぞれの惑星が地上にもっとも近づく時期を見計らって、その光の波長を収束させ媒体となる品物に照射します。この作業は何度も繰り返される必要があります。
　そうして一定期間が経過すると、品物は惑星が秘めている力に染め抜かれ不思議な力を発揮するようになるのです。効果は星によって異なりますが、例えば身につけた者の体力や筋力が上がったりする事もあるようです。

　しかし、そのままでは「魔法」を使うことはできません。
　品物に掛けられた星の力は、別の星の力を重ねることによって初めてその真の力を発揮するのです。例えば火星の光を浴びせたところに水星の光をコーティングすると、両者の不思議な力が噛み合って「 STORM 」という魔法が使えるようになります。
　そうした星の組み合わせのパターンが120種類に及ぶ魔法を決定しているといっても過言ではありません。

　ただし七つの星は互いに干渉しあう性質を持っています。
　ある星がかかっている品物に別の星をかけたら、干渉しあって効果が消えたり、あるいは別の星が生まれたりする事も珍しくはありません。
　［火水金］という組み合わせの魔法を作成する際に、この順番通りに星を掛け合わせても望んでいた結果になるとは限らないのです。
　惑星の相互干渉システムは非常に複雑であり、一般の方々が理解するのは非常に難しいかもしれません。魔法学院が魔法の作成法の一例を公開しているのもそれが理由といえます。

　もっとも、それは「原理」を知らなくても扱えてしまう「製法」でしかありません。
　星の「原理」を見極め、理解した上で魔法を作り上げる——魔法学院が真に望んでいるのは「原理」の方に親しんでもらう事なのです。　作成法にしても、公開されているのは一例にすぎません。
　一日も早く「原理」を見極め、自分なりの「製法」を見つけられることをお薦めします。

SORCERIAN foreverの特典冊子「SORCERIAN HAND BOOK」を元に、文章・構成を編纂しています。