Super Adventure Island / YUZO KOSHIRO
高橋名人の大冒険島／古代祐三

　アルファレコードのG.M.O.レコードレーベルより発売された『高橋名人の大冒険島』のオリジナルサウンドトラック。同ゲームのサントラは2010年に発売の『EARLY COLLECTION 1ST+』にもボーナストラックとして収められている。同ゲームの曲を収録したCDは他にもあり、1991年12月発売の『HUDSON GAME MUSIC BEST』には「Follow Wind」が、雑誌「スーパーファミコンマガジンVol.2」の特別付録音楽CD『SUPER FAMICOM NEW GAME SWOUND MUSEUM』にはステージ曲2曲が収録されている。

　『高橋名人の大冒険島』は、ハドソンよりスーパーファミコンで発売された横スクロール型アクションゲームで、ファミコンで大ヒットした『高橋名人の冒険島』のスーパーファミコン版続編。「高橋名人」は、当時ハドソンに勤めていた高橋利幸氏に付けられた愛称で、同社の宣伝キャラクターとして各メディアやイベントに登場し、シューティングゲームで16連射を披露するなどして子供たちの人気を集めていた。初代の『高橋名人の冒険島』は、セガのアーケードゲーム『ワンダーボーイ』のファミコン移植版にあたり、キャラクターのみを高橋名人に置き換えたものだった。以後同シリーズはファミコンでIVまで発売されており、このIVは公式なファミコンのゲームとしては最後の作品でもあった。PC Engineには『高橋名人の新冒険島』と言う作品も発売されており、スーパーファミコンの大冒険島はIIまで出ている。

　『高橋名人の大冒険島』の音楽には古代祐三氏が起用されており、これはシリーズ中唯一の事である。今作のCDには、『ベア・ナックル』に続くハウスミュージック第2弾と銘打たれており、南国の雰囲気を漂わせながらも独特なリズムの音楽が流れていく。古代氏がスーパーファミコンで音楽を手がけるのは『アクトレイザー』以来2作目の事で、前回のオーケストラを用いた楽曲から大きく転換した今作では、「サンプリングバッファの少ないスーパーファミコン音源でいかに限りなくクリアで心地のよいグルーヴを作り出すか」と言うがコンセプトであると古代氏は語っており、限界のあるハードで最大限の音を出そうと腐心していた姿が伺える。ちなみに、古代氏は以後クインテット開発作品を中心に3作品のスーパーファミコンのゲームの音楽を担当しているが、残念ながらそれらはいずれもサントラCDが出ていない。

【第6回日本ゲームミュージック大賞第20位】(電波新聞社)