ACTRAISER / YUZO KOSHIRO
アクトレイザー／古代祐三

　アルファレコードのG.M.O.レコードレーベルより発売された『アクトレイザー』のオリジナルサウンドトラック。同年9月にはオーケストラアレンジ盤の『交響組曲アクトレイザー』も発売されている。なお、2007年に発売された『Yuzo Koshiro BEST COLLECTION Vol.1』にはこのCDの復刻版が収録されている。

　『アクトレイザー』はスーパーファミコン初期（1990年末）にエニックスより発売されたアクション＋シミュレーションゲーム。プレイヤーは神となって地上に降り立ち、横スクロールのアクションパートで魔物を掃討しつつ、シムシティのようなシミュレーションパートで荒廃した大地に住む人々の文明を再生させて行く。開発を行ったクインテットは、日本ファルコムで『イース』『イースII』『ワンダラーズ・フロム・イース』などを作ったスタッフが独立して新たに興したゲーム開発会社で、プログラムが橋本昌哉氏、シナリオが宮崎友好氏、そして音楽とグラフィックが古代祐三氏と古代彩乃氏の兄妹が担当すると言う、イースシリーズを作成したメンバーが再び集って作ったゲームでもあった。なお、1994年にはほぼ同じメンバーで制作された『アクトレイザー２』は、１にあったシミュレーション部分を撤廃した純粋なアクションゲームだったが、ヒットした１の40万本と言う数字には遠く及ばず、また、残念ながらサントラも発売されなかった。

　今作の楽曲は、古代氏がこれまでのゲームで作ってきたプログレやロック・ポップと言ったジャンルから大きく転換した、オーケストラで奏でられるクラシック調で統一されている。スーパーファミコンはサンプリング音源8音と言う、この当時の家庭用機としては恵まれた環境ではあったものの、使用可能なメモリーの制限や、未だ使いこなされていないハード初期と言う状況の中、性能の限界を引き出したかのような今作のサウンドの完成度の高さは、他の有名ゲームメーカーの音楽に大きく影響を与えたと言われている。ちなみに、古代氏がスーパーファミコンで音楽を手がけたのはこれが初めてであり、新ハードに慣れるまでは、それまでに使い馴染みのあったPC-8801のFM音源を使って曲を作っていたと言う。これらのFM音源の習作バージョンは『MISTY BLUE』におまけとして収録されている。ライナーノーツには古代氏からのメッセージの他、古代氏と親交の深いゲーム評論家の山下章氏もレビューを寄せている。また、「オープニング」「ブラッドプール〜カサンドラ」「人々の誕生」「平和な世界」の4曲の楽譜も掲載されている。

【第4回日本ゲームミュージック大賞第2位】(電波新聞社)
［推定売上枚数：1万枚］