Culdcept ORIGINAL SOUND TRACK
カルドセプト・オリジナル・サウンド・トラック

　ファーストスマイル・エンタテインメントより発売された『カルドセプト』のオリジナルサウンドトラック。古代祐三氏の楽曲が収録される音楽CDが発売されるのは、『BARE KNUCKLE III』以来約３年半ぶりの事となる。2008年には、このCDの復刻盤も収録したニンテンドーDS版サントラ『Culdcept DS ORIGINAL SOUND TRACK DELUXE』が発売されている。

　『カルドセプト』は1997年にセガサターンで発売されたボードゲームで、販売元はセガ・エンタープライゼス、開発は大宮ソフトが行っている。大宮ソフトは社員数名の非常に規模の小さな会社で、カルドセプトは同社にとって記念すべき初のオリジナル作品であった。このゲームでプレイヤーは、双六のようにダイスを振って移動するマスを決め、クリーチャーやスペル・アイテムと言った手持ちのカードを使ってボード上の土地を獲得しながら、目標となるゴールドの到達を目指して周回を重ね、ゴールを求めて競う事になる。対戦相手はストーリーモードならCPU、対戦モードなら他のプレイヤーたち（最大４人）である。発売から２０年近く経った現在でも根強い人気を誇る作品で、1999年にはプレイステーションにバランス調整された上で移植された『カルドセプト・エキスパンション』が発売されており、翌年には追加マップも収録した『カルドセプト・エキスパンション・プラス』も出ている。2008年にニンテンドーDSで発売された『カルドセプトDS』はこのエキスパンションの移植版にあたる。2001年にはドリームキャストで続編となる『カルドセプト・セカンド』が、さらに2006年にはXbox360で『カルドセプト・サーガ』が発売。2012年にニンテンドー3DSで出た『カルドセプト』はサーガまでのカードを対象に調整した新バージョンとなっている。ちなみに余談ではあるが、大宮ソフトが会社を立ち上げて初めて作った作品は、日本ファルコムの『ロードモナーク』（PC-9801）のメガドライブ移植作『ロードモナーク とことん戦闘伝説』であった。

　『カルドセプト』の楽曲は古代祐三氏のほか、前年に開かれたコンテストにて古代氏から審査員特別賞を受けたのをきっかけにゲームミュージック作曲家としてデビューを飾る事となった柳川剛氏が担当している。氏は当時23歳。父親はクラシック畑のピアニスト柳川守氏で、ピアノ音楽詩「ショパン」2003年5月号では古代氏と守氏の対談が行われた事もあった。ちなみに、柳川剛氏はこの後、『カードキャプターさくら』や『シェンムー 第一章』、『ドカポン・ザ・ワールド』と言った数々のゲームで古代氏と共に音楽を担当して行く事となる。今作カルドセプトの曲調は、クラシックの路線で統一しつつ、ポップや民族音楽スタイルなど様々なテイストを詰め込んだと古代氏は述べており、ゲーム内で流れるその音は、一部のCD-DA再生曲を除いてサターン内蔵音源によって実現されている。電波新聞社「Computer Music Magazine」1998年5月号の”佐藤天平のこの人と話してみたかった”で行われた対談記事によると、古代氏はRolandのMIDI音源：SC-88Pro一台でどこまで出来るかの試行錯誤を繰り返しており、カルドセプトの原曲はSC-88Pro一台での完結を目指して作っていた事を明かしている。なお、古代氏は1995年に発売したRPG『卍PSY幽記』（PC-9801／psd）にて既にMIDI音源を使ったオーケストラ作品を手がけており、２年以上を経て作られた今作の音楽は同音源を使ったまさに集大成と言える。

　このCDでは、ゲームで鳴らすためにコンバートされたサターン内蔵音源バージョンではなく、SC-88Proにて作られた原曲バージョンを収録している。残念ながら収録時間の関係からか全曲収録とはいかなかったものの、主要な楽曲の大半は入っているため古代氏が作曲した曲は全て聴くことが出来る。ライナーノーツにはディレクターの鈴木英夫氏をはじめ、古代氏と柳川氏の両コンポーザー、イラストレーターの加藤直之氏と中井覺氏と斎藤智晴氏、そしてゲームデザイナー神宮孝行氏コメントを掲載している。