Sekaiju no MeiQ Original Soundtrack
「世界樹の迷宮」オリジナル・サウンドトラック

　5pb.のFive Records レーベルから発売された『世界樹の迷宮』のオリジナルサウンドトラック。ゲームミュージックイベント「EXTRA」シリーズ関連作品。2013年には販売終了したCDの中から特にリクエストの多いものを選んで復刻する「リパッケージプロジェクト」にて再発売されている。世界樹の迷宮の音楽CDとしては、ゲーム購入者特典だった『世界樹の迷宮 sound track : PROTO-TYPE』に続いて2作目であり、また、このCDの発売の半年後には、多数のアレンジャーが参加した『世界樹の迷宮 SUPER ARRANGE VERSION』が発売されている。

　『世界樹の迷宮』は、ニンテンドーDSにてアトラスより発売されたダンジョン探索型RPGで、ディレクターの新納一哉氏の下で「新しくて懐かしい」と言うコンセプトの元に制作されている。開発元はランカース。日向悠二氏によって描かれた可愛らしいキャラクターイラストは現代風であるものの、ゲームそれ自体は1980年代に見られたような古風で難易度の高い内容になっている。エトリアの街を拠点にして作成したキャラクターでパーティを編成し、主観視点の3Dで表現された樹海に潜って探索を進める事になる。また、このゲームの特徴としてニンテンドーDSのタッチパネルを生かした”マッピング”があげられ、あたかも方眼紙にマップを書き込んでいくかのような80年代のゲームによく見られた光景が、ゲーム内でシステムとして再現されている。なお、2013年にはニンテンドー3DSにてリメイク作品『新・世界樹の迷宮 ミレニアムの少女』も発売されている。

　「新しくて懐かしい」と言う開発コンセプトは音楽面でも大いに現れている。『世界樹の迷宮』で流れる音楽には、80年代のアーケードゲームや、8bit〜16bit時代のパソコン、メガドライブなどで隆盛を誇った“FM音源”が使われている。FM音源は波形の合成によって音が奏でられる音源で、その独特な音色は多くの愛好家を生み出しており、古代祐三氏が『ソーサリアン』や『イース』、『ザ・スキーム』と言った、PC-8801で手がけたFM音源のゲーム音楽は絶大な人気を誇っていた。今回の世界樹の迷宮ではイースやソーサリアンで使っていたFM音源の音をサンプリングしたものが使われていて、およそ10年ぶりに”復活”した古代氏のFM音源の楽曲は、当時の雰囲気を感じさせつつ円熟味を増した仕上がりになっている。音楽も含めて好評だった今作は、翌年に早くも続編『世界樹の迷宮II 諸王の聖杯』が制作されており、以後、世界樹の迷宮はシリーズを重ねて数々の作品を生み出しており、同タイトルは古代氏の代表的作品の一つと言えるまでに成長を遂げている。

　今作のCDでは、DISC1に実際にゲームで使われたDS音源版を、DISC2にはサンプリングしたFM音源（NEC PC-8801FH）のみで作られた原曲版を収録している。ジャケットイラストは日向氏の書き下ろしであり、ライナーノートにはゲームディレクター新納氏のコメントの他、古代氏のプロフィールと、作曲者本人による各楽曲ごとの解説が載せられている。なお、ほぼ1年後には、続編ゲームのサントラ『世界樹の迷宮II 諸王の聖杯 ORIGINAL SOUNDTRACK』が早くも登場している。