WANGAN MIDNIGHT SOUNDTRACK / NAMCO
湾岸ミッドナイト サウンドトラック／ナムコ

　サイトロン・デジタルコンテンツのサイトロン・ディスクレーベルより発売された、レースゲーム『湾岸ミッドナイト』のオリジナルサウンドトラック。同レーベルからは古代祐三氏の初作復刻版である『THE SCHEME SOUND TRACK』がほぼ2週間前に発売されており、連続のリリースとなる。なお、古代氏が全曲作曲を手掛けた新作CDとしては『Early Collection 2nd』以来4年ぶりの事であった。

　『湾岸ミッドナイト』は、ナムコから2001年12月18日より全国のアミューズメント施設（アーケード）で稼動を開始したレースゲーム。基板はSYSTEM246（PlayStation2ベースのナムコが開発した基板）を使用しており、筐体は『リッジレーサーV アーケードバトル』のものを再活用している。開発は『首都高バトル』シリーズを制作した元気が担当。今作は楠みちはる氏が週刊ヤングマガジンで連載中の同名漫画のゲーム化作品で、漫画原作と同じく首都高を舞台に、漫画の登場キャラクターたちが実在する車種に乗ってレースバトルを繰り広げる。プレイモードには、悪魔のZからの勝利を目指す「シナリオモード」と、プレイヤー同士で競う「乱入対戦モード」、全8コースでのタイムを競う「タイムアタックモード」の3つが用意されている。翌2002年の3月にはプレイステーション２にも移植されており、同年4月下旬にはライバルキャラが使用可能になったシリーズ第2弾の『湾岸ミッドナイトR』も稼動を開始している。2004年には、リニューアルされた続編の『湾岸MIDNIGHT MAXIMUMTUNE』が出ており、現在（2015年）まで続く人気シリーズとなっている。

　今作は、古代氏が初めて手がけたアーケードゲームの音楽で、氏が楽曲の全てを担当している。古代氏が一つのゲームを一人で全て手がけるのは1996年の『トア 〜精霊王紀伝〜』（セガ／サターン）以来実に5年ぶりの事であり、この当時その名を聞く事が少なくなっていた古代氏が、再び世に知れ渡っていくようになるターニングポイントとでも言うべき作品となった。ライナーノーツでは古代氏が楽曲作成について書いており、発売元のナムコ側の意向によって、近年のレースゲームミュージックで主流のトランス的な曲調ではなく、あえて1980年代後期ポップスの雰囲気を漂わせるアレンジを採用したと述べている。中にはオーケストラを使った楽曲もあるなど、レースゲームとしてはやや異色の音楽となっている。ちなみに、プレイステーション2移植版で追加された曲は古代氏によるものではないため、このCDには収録されていない。続編の『湾岸MIDNIGHT MAXIMUMTUNE』シリーズは以後10年以上にも渡って継続する事となり、古代氏を代表する作品へと成長を遂げている。