STREET FIGHTER Tribute Album
ストリート・ファイター・トリビュート・アルバム

　カプコンセルピュータレーベルより発売された『ストリートファイターII』のトリビュートアルバム。古代祐三氏が、他者が作曲した既存楽曲のアレンジャーとして参加するのは今作が初めてとなる。

　『ストリートファイターII』は1991年にアーケードで登場したカプコンの対戦格闘ゲームで、1987年にアーケードで登場した初代『ストリートファイター』の続編となる。1対1での対戦、3段階のキック・パンチとコマンド入力の必殺技を組み合わせた操作、相手の体力ゲージを0にするとラウンド勝利で3ラウンド中2ラウンド先制で次に勝ち抜け、と言った基本的なゲーム内容は前作とほぼ変わりないが、パンチ・キックの強弱が6つのボタンで出せるなどの操作性の向上や、前作でリュウ、ケンの２人のみだったプレイヤーキャラが、春麗、ガイル、ダルシム、ブランカ、エドモンド本田、ザンギエフを加えた計8キャラクターに増え、通常攻撃や必殺技は各キャラクターごとに異なるなど、全般的にバラエティに富んだ進化を果たしている。CPU相手の勝ち抜き戦のみならず、対人による対戦が大いに盛り上がった『ストリートファイターII』は爆発的ヒットを記録し、翌1992年にはブラッシュアップされた上、プレイヤーキャラとして使えなかった”四天王”のバイソン、バルログ、サガット、ベガが使えるようになった『ストリートファイターII'（ダッシュ）』が登場しており、同年末には新必殺技の追加やバランス調整されゲーム速度が格段に”速く”なった『ストリートファイターII'ターボ』も登場。1993年にはT・ホーク、フェイロン、キャミィ、ディージェイの4名の新キャラクターが追加された『スーパーストリートファイターII』が、1994年にはスーパーコンボや受身などが導入された『スーパーストリートファイターII X』が出ており、同ゲームシリーズは1990年代を象徴するような一大ムーブメントを起こしたゲームであった。スーパーファミコン、PCエンジン、メガドライブ、3DO、プレイステーション、セガサターン、ゲームボーイと言った家庭用ゲーム機にも積極的に移植されており、X68000やFM-TOWNS、そしてWindowsとパソコン向けにも登場していて、多機種にわたってリリースされた事実は大ヒットを記録したゲームの勢いを物語っている。

　このCDは、初代『ストリートファイター』から数えて15周年を記念して企画された作品で、12人のゲーム音楽作曲家たちがそれぞれ『ストリートファイターII』の各ステージ曲にアレンジを施している。参加メンバーは、カプコン時代に『スト2』の音楽を担当した下村陽子氏本人をはじめ、セガの光吉猛修氏、元スクウェアの光田康典氏、コナミの古川もとあき氏など、ゲーム会社の垣根を越えた豪華な顔ぶれが集結している。

　このCDに参加したメンバーは以下の通り。（主な所属先：代表作）
●光吉猛修氏（セガ／SST Band：バーチャファイター、セガラリー、シェンムーなど）
●吉田博昭氏（データイースト、パオン／ゲーマデリック：空牙、スカルファング、チェルノブなど）
●佐宗綾子氏（ナムコ、アリカ、スーパースィープ：リッジレーサー、ストリートファイターEXなど）
●古川もとあき氏（コナミ／コナミ矩形波倶楽部：悪魔城伝説、スーパー魂斗羅、グラディウスIIなど）
●下村陽子氏（カプコン、スクウェア：ストリートファイターII、聖剣伝説 Legend of Manaなど）
●松前真奈美氏（カプコン：ロックマン、エリア88、戦場の狼IIなど）
●光田康典氏（スクウェア：クロノトリガー、ゼノギアス、マリオパーティなど）
●葉山宏治氏（ラストハルマゲドン、超兄貴、フロントミッション３など）
●古代祐三氏（エインシャント：イース、ソーサリアン、アクトレイザー、ベアナックル、カルドセプトなど）
●渡部恭久氏（タイトー、スーパースィープ：サイバリオン、メタルブラック、ストリートファイターEXなど）
●相原隆行氏（ナムコ、アリカ：リッジレーサー2、サカつく2002、ストリートファイターEXなど）
●細江慎治氏（スーパースィープ：リッジレーサー、武士道ブレードなど）

　ストリートファイターシリーズのアーケード基盤を自ら所有しているほどのマニアでもある古代氏はバイソンステージの曲を担当しており、この時期『湾岸MIDNIGHT MAXIMUMTUNE』（アーケード／ナムコ）で挑戦していたトランス風のアレンジを行っている。CDブックレットには各アレンジメンバーのコメントのほか、簡単なプロフィールと顔写真を掲載。ちなみに、古代氏の紹介写真には生まれたばかりの子どもと一緒に写った写真が使われている。