POPFUL MAIL SOUND BOX '94
ぽっぷるメイル・サウンド・ボックス'94

　キングレコードのファルコムレーベルより発売された『ぽっぷるメイル』の家庭用ゲーム機バージョン・オリジナルサウンドトラック。なお、原作（PC-8801）版ぽっぷるメイルのFM音源サントラは『FALCOM SPECIAL BOX '93』に収録されている。ファルコムが他社によるライセンス移植作のオリジナルサントラを発売するのはこれまで例がなく、また家庭用ゲーム機の音源を収録したサントラを発売したのも今作が初めてである。

　『ぽっぷるメイル』は、元々1991年にPC-8801で発売されたアクションゲームで、1994年に入ってから４月にセガ（セガ・ファルコム）よりメガドライブ版が、６月にファルコム自らの手でリメイクしたスーパーファミコン版が、そして８月にNECホームエレクトロニクスよりPCエンジン版と、当時主要だった各家庭用ゲーム機へと移植されている。移植元と機種・メディアの違いによりそれぞれ特色あるアレンジが施されており、それぞれの機種間による内容の違いは比較的大きかった。この当時の日本ファルコムはPCゲーム以外に、家庭用ゲーム機でのリリースにも力を入れており、ぽっぷるメイルはスーパーファミコン（および任天堂ハード）への初参入作品でもあった。

　今作では、Disc1にファルコムがリメイクしたスーパーファミコン版、Disc2に他社ライセンス移植版であるメガドライブ版（メガCD）＆PCエンジン版（スーパーCD-ROM2）と、家庭用ゲーム機３機種のサントラを収録している。
　Disc1のスーパーファミコン版ぽっぷるメイルは原作の音楽をアレンジした曲の他、SFC版専用の新曲も数多く追加されており、また移植にあたって使われなかった原作曲も多かった。このCDではスーパーファミコン版で使われた楽曲を全て収録している。
　Disc2のメガドライブ（メガCD）版ぽっぷるメイルは、原作版で使われていた曲の他に、ワールドマップや最終ステージに曲が追加されていて、章間ビジュアルのシーンは新曲に差し替えられている。「メニュー」と「ラストステージ」と「エンディング（２）」は未使用。このCDでは原作版で使われていた曲のみを収録しており、MD版用の新曲は収録対象になっていない。
　同じくDisc2のPCエンジン版ぽっぷるメイルではオープニングや新ステージなどに新曲が追加されているが、それらの曲はファルコムの管理する曲ではないため今回のCDには収録されていない。また、ファルコムの楽曲であっても、ショップやゲームオーバー、会話シーンと言ったPSGで演奏されていた曲や、オープニングのアレンジ曲、そして章間ビジュアルの「CAVE〜VOLCANIC ZONE」 「ICE BERG〜CASTLE」も未収録となっている。ちなみに、PCエンジン版には後にゲーム音楽CDレーベルのサイトロンや5pb.に携わる志倉千代丸氏が編曲およびギター演奏に参加している。
　Disc2の最終トラックに収録された長織有加氏が歌うボーカル曲「誰かがあなたを愛してる」は、メガCD版とPCエンジン版のエンディングで使われた同曲のRE-MIXバージョン。この曲は1992年に南翔子氏が出したシングルCD『誰かがあなたを愛してる』と同じ曲で、編曲者（樫原伸彦氏）も同じであるが、歌詞は違うものへと変更されている。
ライナーノーツを担当するのはキングレコードのディレクター遠藤潤氏。