MISTY BLUE / YUZO KOSHIRO
ミスティ・ブルー／古代祐三

　アルファレコードのG.M.O.レコードレーベルより発売された『ミスティ・ブルー』のオリジナルサウンドトラックで、後半には『アクトレイザー』原曲バージョンも収録している。2007年に発売された『Yuzo Koshiro BEST COLLECTION Vol.1』にはこのCDの復刻版が収録されている。

　『ミスティ・ブルー』は、1990年にPC-8801とPC-9801で発売されたアドベンチャーゲーム。ロックグループの「オルフェ」に憧れを抱いていた主人公の水上和哉は、高校卒業後にロサンゼルスへ留学していた。芸能プロデューサの松宮からデビューの話が持ち上がり4年ぶりに帰国したが、「オルフェ」のラストギグ会場で松宮と衝突してしまう。会場を後にしようとしたところで出会ったのは、高校時代の恋人・藤木麻衣子だった。久しぶりの再会に、高校時代の仲間たちも呼んで昔話に花を咲かせたが、その翌日に和哉がテレビで目にしたのは松宮が殺されたと言うニュースだった…。ゲームはコマンド選択型であり、登場人物との会話に比重が置かれていて、推理や恋愛要素を盛り込んだ、現代日本の若者たちが織り成すドラマが展開されて行く。選択肢によってはストーリーの展開が変化し、その結末も１つではない。なお、ゲームには本編とは別に、高校時代を回想した『高校生ディスク』と、エニックス本社などを舞台としたパロディRPG『えにっくす くえすと』がおまけとして入っている。

　『ミスティ・ブルー』とおまけゲームの『えにっくす くえすと』の音楽は、古代祐三氏が一手に担っており、音源は基本的にPC-8801のサウンドボードII（FM6音・SSG3音・リズム6音・PCM1音）で鳴らされる事を前提に作成されている。ゲームの設定が現代の日本という事で、曲調はこの当時のバブル期の流行を感じさせるようなロック・ポップスが主体となっている。また、ユーロビートダンスミュージック系の曲も数多く取り入れられており、古代氏が直後に手がける『BARE KNUCKLE』のハウスミュージックに繋がる片鱗を垣間見せている。なお、このCDにはミッキーの部屋のシーン（「Micky's Room」）など収録されていない曲もいくつかあるが、それらの曲は2007年4月にEGG MUSICから配信された『MISTY BLUE COMPLETE SOUNDTRACKS』にて収録されている。
　CDの後半に収録されているのは、スーパーファミコンで発売された『アクトレイザー』の楽曲で、これらはスーパーファミコンのADPCM音源に慣れていなかった古代氏が、曲を作る時の習作としてFM音源で作ったバージョンである。収録曲にはゲームでは使われていない未使用曲も含まれており、中でも「Space Fight」は、著名ゲームミュージックのコンポーザーが多数参加した同人CD『MCMLXC』にも収録されたことがあった。ライナーノーツには古代氏からのメッセージが、爽やかな氏の写真と共に掲載されている。

【第4回日本ゲームミュージック大賞第4位】(電波新聞社)