Sekaiju no MeiQ3 ★seikai no raihousya★ SUPER ARRANGE VERSION
「世界樹の迷宮III 星海の来訪者」 スーパー・アレンジ・バージョン

　5pb.Recordsから発売された『世界樹の迷宮III 星海の来訪者』のアレンジ盤。ゲームミュージックイベント「EXTRA」シリーズ関連作品。2013年には販売終了したCDの中から特にリクエストの多いものを選んで復刻する「リパッケージプロジェクト」にて再発売されている。世界樹III関連の音楽CDとしては『世界樹の迷宮III 星海の来訪者 ORIGINAL SOUNDTRACK』に続いて3作目で、ゲーム発売のわずか１ヵ月後の登場であった。なお、世界樹シリーズのアレンジ作品としては『ピアノと弦楽器の生演奏による 世界樹の迷宮I＆II』に続く4作目であり、前作通算で10作目の音楽CDとなる。

　『世界樹の迷宮 SUPER ARRANGE VERSION』を初め、これまでに出ていた世界樹の迷宮関連のアレンジ３作品では、GEM Impactの日比野則彦氏が全体の統括的立場であったが、今作ではサウンドディレクターの上倉紀行氏やスーパーバイザーの崎元 仁氏へと、その任がバトンタッチされている。両名は『救急救命 カドゥケウス2』『朧村正』『FINAL FANTASY TACTICS A2』『戦場のヴァルキュリア』等々、多くのゲームミュージックの作成実績がある音楽専門会社ベイシスケイプの所属で、この年の10月に発売される『クリミナルガールズ』では古代祐三氏と並んでボーカル曲を作っていたりする。ちなみに、同社代表の崎元氏はこれまでにも『TEN PLANTS』『EXTRA OFFICIAL COMPILATION』『民安ともえ たみうた。』と言ったオムニバス作品などで古代氏と共演した事もあり、キャリアや年齢が近い古代氏と並ぶ著名なゲームサウンドクリエイターと言える。

　『世界樹の迷宮III 星海の来訪者』では古代氏が作る原曲音楽そのものが、作り方も含めてこれまでのシリーズから変化を見せており、今作でアレンジ盤の制作陣が一新された事と相まって、前作『世界樹の迷宮II 諸王の聖杯 SUPER ARRANGE VERSION』とは趣の違った内容になっている。今作のアレンジャーは、その全員がベイシスケイプに所属しているアーティストで、上倉氏を初め、金田充弘氏、千葉 梓氏、工藤吉三氏、阿部公弘氏の5名が参加している。中心人物である上倉氏は16曲ある収録曲の内の半数となる8曲をアレンジしており、アコースティックやロック、ジャズ風など、幅広い音楽ジャンルを披露して、その豊かなセンスを感じさせてくれる。また、千葉氏が担当する「迷宮I 垂水ノ樹海」「君たちの冒険は終わった」の2曲は、アコースティック系の楽器をメインにした上で女性ボーカルが入っていて、前作までのレベッカ・エヴァンス氏によるボーカルメインの曲ともまた違うアレンジに仕上がっていたりする。なお、歌っているのが誰であるかは残念ながらクレジットに記載されていないため不明。ちなみに、収録全13トラックの内3トラックはメドレー曲が収録されており、「戦場 その鮮血は敵か汝か」〜「戦乱 荒れ狂う波浪の果て」のF.O.E＆ボス戦曲、「迷宮III 光輝ノ石窟」〜「迷宮IV 深洋祭祀殿」のダンジョン曲、そして「迷宮VI 昏き海淵の禍神」〜「戦乱 その忌むべき名を呼べ」の最深部曲と、ゲーム内で関連性のある２曲を選出してアレンジしている。ライナーノートでは、上倉氏を筆頭にアレンジャー陣のコメントとプロフィールが載っており、最後に崎元氏のコメントと古代氏のプロフィールが掲載されている。