THE SCHEME / YUZO KOSHIRO
ザ・スキーム（サウンド・ボードII・バージョン）／古代祐三

　アルファレコードのG.M.O.レコードレーベルより発売された『ザ・スキーム』のオリジナルサウンドトラック。テープ版とCD版の同時発売。古代祐三氏が、初めて個人名義で出した記念すべき作品。ジャケットイラストは元ファルコムの都築和彦氏が描いている。初回特典版はオリジナル・イラスト・ステッカー付き。

　『ザ・スキーム』は、ボーステックから1988年8月にPC-8801で発売された横スクロール型アクションゲームで、開発はオニオンソフト』。オニオンソフトは、プログラマのおにたま（武田寧）氏が代表を務めるソフト制作グループで、現在（2015年2月）でも同人などで長きにわたって活動を続けている。これまでに発表した作品の中でも、ミニ作品集の『100円ディスク』シリーズは有名で、古代氏もいくつかの作品に関わっており、楽曲も作っていたりする。1989年には、ザ・スキームの続編となる同人ソフト『ワンダラーズ・フロム・スーパースキーム』も登場しており、こちらはサントラも配信されている。近年ではOBS（おにたま放送局）と言うネット上の生放送映像配信コンテンツなども制作しており、ゲーム関係の開発者などが出演する事も多く、古代氏も「FM音源ドライバーズサミット」などで何度か出演している。

　今作は、日本ファルコムの『イース』や『ソーサリアン』でゲームミュージック界に衝撃をもたらした古代氏が、フリーになって初めて音楽を担当すると言う事で話題となり、真偽は定かではないがゲーム以上にサントラが売れたとも言われている。ザ・スキームの音楽はノーマルバージョン(FM3音＋SSG3音)とサウンドボードIIバージョン(FM6音＋SSG3音＋リズム6音＋PCM1音)の2種類から選択が可能で、一部楽曲は同じ曲のアレンジ違いであるが、そのほとんどはそれぞれのバージョンにまったく違う別の曲が用意されていると言う力の入れようで、総曲数は30曲以上に及んでいる。ザ・スキームは古代氏が初めて本格的にサウンドボードIIを使って音楽を作ったゲームで、これ以前には『Falcom GAME MUSIC』にて2曲のアレンジを披露した事があった程度であった。このCDに入っているのは、そのサウンドボードIIバージョンの方で、全部で18曲が収録されている。また、アレンジバージョンも5曲収録されていて、ソフトバレエより森岡 賢氏と藤巻靖人（現・藤井麻輝）氏の両名がアレンジャーとして参加している。作曲者の古代氏も自らアレンジに関わっており、自身の作った楽曲に対するこだわりを見せている。ちなみに、このCDで収録されなかったノーマルバージョンは、後に発売される『Early Collection』にて収録された。また、2002年には両バージョンを収めた再録版の『THE SCHEME SOUNDTRACK』が出ている。ライナーノーツは古代氏と以前から関わりの深い山下章氏が書いている。ちなみに、山下氏著の『チャレンジ！A.V.G&R.P.G IV』には、スキームの楽譜や古代氏による楽曲の解説が掲載されていたりする。

【第1回日本ゲームミュージック大賞第1位】(電波新聞社)