THE SUPER SHINOBI & WORKS / Yuzo Koshiro
ザ・スーパー忍＆ワークス／古代祐三

　アルファレコードのG.M.O.レコードレーベルより発売された『ザ・スーパー・忍』＋αのサウンドトラック。初回特典にはオリジナルステッカーが付いていた。『THE SCHEME』に続く古代祐三氏２枚目の音楽CD。2007年に発売された『Yuzo Koshiro BEST COLLECTION Vol.2』にはこのCDの復刻版が収録されている。ちなみに、ジャケットには古代氏の写真が表裏合わせて５枚も載せられており、若かりし古代氏の代表的な写真として使われるが多かったりする。

　『ザ・スーパー・忍』は、1989年12月にセガからメガドライブで発売された横スクロールアクションゲーム。今作は、1987年にアーケードで出た『忍 -SHINOBI-』の続編で、主人公の忍者ジョー・ムサシを操作し、刀や手裏剣などを使って敵忍者を倒しながら全8ラウンドを攻略して行く。1991年と1992年にはゲームギアでシリーズ作品の『The GG 忍』と『The GG 忍 II』が相次いで発売されており、1993年にはメガドライブで続編の『ザ・スーパー・忍II』も出ている。また、1993年4月にはUSA版の『The Revenge of SHINOBI』が収録された『セガクラシック アーケードコレクション』がメガCDで発売されている。

　今作では、音楽に古代祐三氏を起用している。これまで主にPC-8801のゲーム音楽を作ってきた古代氏であるが、今作にて初めて家庭用ゲーム機の音楽を手がける事となった。とは言っても、メガドライブで使える音源は、PC-8801のサウンドボードIIの「FM6音+PSG3音+リズム6音+PCM1音」とほぼ同じ構成の「FM6音+PSG3音+PCM1音+ノイズ1音」であったため、これまでに培ってきた技術を存分に生かすことが出来たハードであり、開発時の楽曲制作はこれまでと同じくPC-8801FEを使って行われている。ちなみに、前述のシリーズ作品の内、『The GG 忍』と『The GG 忍 II』の音楽も古代氏が担当で、前者は1998年に出た『Early Collection 2nd』にてサントラが初収録されている。また、2009年にはジョー・ムサシを主人公としたシリーズ全てのオリジナルサントラ『LEGEND OF JOE MUSASHI - SHINOBI MUSIC COLLECTION』が発売されている。

　このCDでは、メガドライブの音源で鳴っているものではなく、開発時にPC-8801のサウンドボードIIで作成された原曲版の方を録音収録している。『忍 -SHINOBI-』のイメージを踏襲しながらも、テクノ的な要素が入った楽曲となっており、後に古代氏が手がけて人気となったセガの『BARA KNUCKLE』シリーズのハウスミュージックの萌芽とも思える音楽を聴くことが出来る。なお、オープニング後に流れる「Long Distance」だけは、残念ながら未収録である。

　19〜22トラックは、ＣＤタイトル名の「WORKS」の部分にあたる。19「BLAST POWER」、20「FLASH FLASH FLASH」、22「ASTEROID MEMORY」の３曲は、ナムコの名作シューティング『ボスコニアン』を電波新聞社がX68000にリニューアル移植したバージョンのサウンドトラック。リニューアル版の音楽を最初に手掛けていた永田英哉氏からの応援要請によって、古代氏が楽曲を提供し、それらの曲がこのCDに収録される運びとなった。なお、永田氏は古代氏と同じくマイコンBAISCマガジン（ベーマガ）の元ライターであり、日本ファルコム作品では古代氏と共に『ソーサリアン』と『イースII』の曲も書いている。21「INNER WORLD」はいとうせいこう氏原作の映画『ノーライフ・キング』中に出てきたゲーム”撃墜王小竹向原X”で使用された曲。23〜26トラックにはこのCDに収録されたサントラ楽曲のアレンジ版を収録しており、E.Guitarはトランザム２の永島広氏が演奏している。ライナーノーツは古代氏が自ら書いている。

【第2回日本ゲームミュージック大賞第2位】(電波新聞社)